ある建設機械メーカー様で、冬場になると塗装のはく離のトラブルが増えるというご相談をお受けしたことがあります。
このような塗装不良では、季節、時間帯で不良率の増減があるかどうかを調べるのが、原因究明の第一歩となるようです。
調査をしたところ、冬の朝に塗装したものが極端に増えていました。最初は炉の温度が疑われていました。炉には定点で炉壁に熱電対が差し込んであり、それで炉内温度を監視しているケースがほとんどだと思います。しかし、炉の出入口付近の温度が下がっていたり、定点の熱電対より下層に冷気が侵入していたりするケースでは、なかなか定点の熱電対では察知できません。炉の温度によるトラブルは、炉内に移動式炉内温度計を通して、3次元的に炉内温度を把握する以外に有効な方法はないようです。炉内温度を測定したところ、異常はありませんでした。
原因は鋼材の表面に発生した結露でした。マイナスになる極端に寒い場所に置かれていた被塗物を、工場の暖房がよく効いた作業エリアに移動したときに、温度差から表面に結露が発生したものでした。
結露というと、冷たい飲み物を入れたコップの表面にできる、細かな水滴をイメージしますね。でも塗装で問題になる結露は、眼にはなかなか見えないレベルなんです。そのため、JISでも結露そのものではなく、結露の可能性を管理するように指示しています。通常は結露温度より3℃以上高い温度で塗装することが求められます。
塗装では、冬場は結露肌にご用心を。