2017年12月06日

冬場は乾燥肌が心配…でも塗装では?

ある建設機械メーカー様で、冬場になると塗装のはく離のトラブルが増えるというご相談をお受けしたことがあります。
このような塗装不良では、季節、時間帯で不良率の増減があるかどうかを調べるのが、原因究明の第一歩となるようです。
調査をしたところ、冬の朝に塗装したものが極端に増えていました。最初は炉の温度が疑われていました。炉には定点で炉壁に熱電対が差し込んであり、それで炉内温度を監視しているケースがほとんどだと思います。しかし、炉の出入口付近の温度が下がっていたり、定点の熱電対より下層に冷気が侵入していたりするケースでは、なかなか定点の熱電対では察知できません。炉の温度によるトラブルは、炉内に移動式炉内温度計を通して、3次元的に炉内温度を把握する以外に有効な方法はないようです。炉内温度を測定したところ、異常はありませんでした。

原因は鋼材の表面に発生した結露でした。マイナスになる極端に寒い場所に置かれていた被塗物を、工場の暖房がよく効いた作業エリアに移動したときに、温度差から表面に結露が発生したものでした。

結露というと、冷たい飲み物を入れたコップの表面にできる、細かな水滴をイメージしますね。でも塗装で問題になる結露は、眼にはなかなか見えないレベルなんです。そのため、JISでも結露そのものではなく、結露の可能性を管理するように指示しています。通常は結露温度より3℃以上高い温度で塗装することが求められます。
結露.jpg
塗装では、冬場は結露肌にご用心を。
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2017年11月16日

情報とお刺身の関係を考える…!?【JIS規格について】

お客様からある情報が寄せられました。

「規格が変わって、プルオフ試験で使用するドリー(試験円筒)はφ7mmを使用することになった…と聞いたのですが、φ7mmのドリーはあるのですか?」

びっくりしました。
ドリーの直径を小さくする(=接着面積を小さくする)と、試験精度がどうしても低下します。それはさまざまな実験で確かめられていることです。ですから、いきなりφ20mmからφ7mmに規格を変えるとは思えませんでした。
COTECにあるJIS ハンドブックは2014年版でした。この間にJIS K5600-5-7に大きな変更はなかったと記憶していましたが、念のためにWeb上の情報を検索してみました。するとどういうことか…

「…付着強度試験を片側からだけ行う場合には、直径7mmの試験円筒を使用する」

と掲載されていました。お客様の言われたことは本当(?)でした。
そして、私たちは念のために最新の2016年版JIS ハンドブック(※)を購入したのです。
※お問い合わせをいただいた当時の最新版です。現在は今年のハンドブックが出ております。
JISドリー7mm.jpg
私はこう思います。

情報とお刺身はよく似ている…と。

ネタの良し悪し、鮮度、切り口が重要だと。
今回は残念ながらネタに問題があったようです。
最新の2016年版JIS ハンドブックには、こう記載されていました(便利ですね。Amazonで購入したら翌日には届きました)。

「試験円筒は、ほかで規定がない場合は、直径20mmで、接着面は試験中に変形することのない十分な厚さを持つ。その長さは直径の半分以上であることを推奨する。付着強度試験を片側からだけ行う場合には、直径7mmの試験円筒を使用してもよい。直径7mmの試験円筒を使用する場合には、試験精度を出すために繰り返し10回の試験を実施し、試験報告書には使用した試験円筒の直径を記録する」

たしかに、7mmの試験円筒を使用しても良いという記載が加わりました。7mmの試験円筒を使用する…ではなく『使用してもよい』という消極的な許可です。消極的になる理由は、何といっても試験の結果にバラつきが生じる恐れがあるためです。そのため規格では10回も試験する、さらにはφ20mmの試験ではなかったことを記録に残すように命じています。接着できる面積が小さいなど特殊なケースを想定した救済策としての追記と考えられます。
もちろん、試験円筒の直径は大きい方が試験のバラつきは小さくなることが一般に知られています。
バラつきの大きな試験記録は試験の有効性が後で疑問視されますので、やはりφ20mmで試験されることが原則です。

さらに補足しますと、引張試験機について、
「水圧式、手動式装置は、結果がばらつくとの報告があるので、これらを使用した場合は、試験報告書に使用した試験機を記録しなければならない」
という記載が加わりました。手動式の測定精度に懸念があることが、はっきりと記載されたことになります。
手動式をお持ちの方はご注意ください。

塗装あるいはコーティング膜を形成するお仕事にある方は、正式にJIS規格に則って運用される場合には、JISハンドブックを常備されることをお勧めしたいと思います。ネタはやはり出どころ(産地)のしっかりしたものを選びたいものです。

ところで、切り口も大事ですね。
同じネタを使っても、私が切るのと、優れた板さんが切るのとでは、味は大違いです。
同じネタなのに不思議です。
切り口の重要さを考えつつ、ブログの回も重ねていきたいと思います。

今回も最後までお付き合いをいただきありがとうございました。
タグ:JIS規格
posted by COTEC(コーテック) at 20:00 | Comment(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2017年11月14日

【ワイヤレスバーコーター】塗工のコツは?…「急いては事をし損じる」です。

当社ではアプリケーターの実験のお手伝いをさせていただいています。
「うまく塗れなくて困っている」「どういうアプリケーターを選んだらいいのかわからない」というお客様のために、実験のお手伝いをさせていただいています。
もし、お困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。
今回はその実験のこぼれ話です。

大手総合電機メーカーの技術者の方が当社に来られました。
粘度はおよそ1,000mPa/秒ですので、ちょうどはちみつくらいの粘度のほぼ透明な塗工液でした。

バーコーターを使って50μmくらいの比較的に厚く塗る、さらに5μm未満にごく薄く塗る

・・・というのが今回のミッションでした。全自動コーターにワイヤバーコーターを装着して、塗工速度を変えながら実験を繰り返しました。50mm/秒の塗工速度ではまったくダメ、徐々に遅くしていき、5mm/秒まで遅くしたら、何とか塗工液はフィルム状になってきましたが、それでもまだ安定しません。塗膜表面にくっきりとワイヤ跡が残ってしまいます。
ワイヤレスバーコーター01.jpg
塗面に光源を当てるとスジ状の模様がくっきりと見えます

実験のお手伝いをさせていただいて、気づいたことがあります。
それは多くの場合、ご担当の方が思われているより、適切な塗工速度はずっと遅い場合が多い…ということです。
ですから、もし塗工がうまくいかなかったら、とにかく遅くしてみてください。特に手で塗工している場合、遅いと疲れるので早くなりがちですが、「急いては事をし損じる」が鉄則のようです。
そこで、新しく開発したワイヤを巻かないワイヤレスバーコーターを試してみました。
ワイヤレスバーコーター02.jpg
左側がスパイラルバーコーター、右側のワイヤレスバーコーターの拡大画像です。

このワイヤレスバーコーターで塗工したところ、スジ状の模様が完全に消えました。
ワイヤレスバーコーター03.jpg
さらに、このワイヤレスバーコーターの4μm用で塗工したところ、本当にわずかですがスジ状の模様が見えました。
ここでも「急いては事をし損じる」…2mm/秒で塗工したところ、お客様も「本当に塗れてるの?」と思うほど、きれいに塗工できました。しかも、虹色の干渉縞が塗面に現れ、一同感動!です。


『ワイヤレスバーコーター』は弊社にて取扱い中です!
デモ用のバーもご用意しております。どうぞお気軽にお試しください。



適切なバーの選定などご相談もお気軽にお問い合わせください!
私たちが予想していた以上に、おもしろい特性を出してくれそうです。
続報を乞うご期待!

posted by COTEC(コーテック) at 19:00 | Comment(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする